カムと4節リンクを組み合わせることで、4節リンク機構の1つのジョイント部分を、平面座標上の好きな位置に動かすことができます。
これは、2つのリンクの位置が決まると他の2つのリンクの位置が決定するという4節リンクの特性を応用するからです。
例として8を書くような動きをさせてみました。
この通り、カムは起伏によって任意の位置にリンクを動かすことができます。
動かせる平面座標の範囲は、リンクの長さやカムが出せる振り幅などによって変化します。
リンクを長くして範囲を大きくする場合は、可動範囲が拡大していくようなイメージです。その分細かい位置の指定には精度が必要になってきます。
ちなみにマジで筆記をさせるには平面座標の制御だけではなく、上下の動き(Z軸の動き)も必要になります。
設計してみる。
方法だけ記載しておきます。
- 可動範囲を把握する。
- 筆記軌跡を点でとる。
- カムの起伏を決めていく。
可動範囲を把握する。
まず、筆記できる可動範囲を把握しておきます。
可動範囲はカムの起伏が最大/最小になる時のリンクの位置から求められます。
カムに接触するリンクの作用点から、接続されるリンクの長さが半径となる円弧を書くと可動範囲が出てきます。
この可動範囲内なら自由に動かすことが可能ということになります。
可動範囲が足りない時は、リンクを長くするか、カムの起伏を大きくすることになります。
筆記軌跡を点でとる。
可動範囲に収まる程度の動き。今回は8を書く動きで作っていきます。
筆記軌跡となる線に、均等に点を配置していきます。
点が多ければ多いほど、実際に筆記する際の精度は上がっていきます。
あとはこの配置した点に筆記部分が動く時のカムの起伏を逆算することで、カムの起伏を求めることができるようになります。
カムの起伏を決めていく。
カムを設計する円周を、点の数だけ分割していきます。
点の数が20の時は20分割、30の時は30分割です。
この時、分割する線は直線ではなく、リンクの可動曲線になります。
可動曲線の環状配置ができたら、その曲線に沿って、逆算したカムの起伏の位置を点でとっていきます。
それができたら隣の曲線で次の点、を繰り返していくとカムの起伏となる曲線が点でプロットされていきます。
カムの回転方向ですが、リンクの可動曲線がカムの回転と逆に向かう方向には設定しないほうがいいです。リンクとカムの摩擦によってはうまく動かなくなる場合があるからです。
点のプロットが終了したら全ての点をつなぐとカムが出来上がります。
点の繋ぎ方は曲線移動する筆記のみであれば滑らかに繋げばOKです。
「★」を書くような角ばった移動が筆記で行われる場合は、その尖った点を2回抽出する(=尖った点で一時停止する)ような感じで作れば解決できるかと思います。
こんな感じでやればできるかなと思います。設計ソフトは必須級ですね。