について書いていきます。
直面してそうな問題としては、
- 手動で大きな力を得たい
- 弱いモーターの力でもパワフルに動かしたい
という感じですかね?
この問題についてはからくりを作っていると誰しも遭遇することなのではないでしょうか。
解決するポイントは「てこ」です。
アルキメデスが滑車を使ってでっかい船を持ち上げたっていう話が有名ですが、
その際に使われたてこの原理は歯車やリンク機構にも当てはまります。
歯車で解決する
手回しでもモーターでも、機構への伝達に歯車は欠かせません。
基本的な平歯車を使って大小さまざまなサイズを組み合わせて伝達を行います。
平歯車の項でも触れていますが、小さな歯車(歯数が少ない)から大きな歯車(歯数が多い)へ回転を伝えることで
回転速度を遅くすることができます。
回転速度が遅くなると、そのぶん力が大きくなるということです。
あ、小歯車から大歯車へ動力を伝達しただけでは歯1つあたりにかかる力は変化していません。
回転は遅くなっていますが、小歯車が1歯進む角度で大歯車が1歯進む角度を動かしているだけです。
この大歯車に小歯車を合体させると、いよいよその小歯車の1歯あたりが伝える力が大きくなります。
大歯車が1歯動く角度では合体した小歯車は1歯未満の移動量となるためです。
と書きましたが、小歯車→大歯車への動力伝達を重ねると力が大きくなるということです。
遅く回ると力が大きくなるというのはイメージしやすいかなと思います。
回転速度と力の関係は、輪列中の摩擦などの損失を無視すれば、
・1/n倍速で回ればn倍の力になる
・n倍速で回れば1/n倍の力になる
ということになります。
輪列図の項でも歯車の組み方については記載していましたが、錘などの大きな力を長く使うには大歯車→小歯車の組み方です。
本項の「小さな力から大きな力を作る」では逆の組み方となります。
リンクで解決する
リンクで大きな力が欲しいと思うときは実用的な機械を設計するときでしょうか。
(なんでこのページを見てるんでしょうかね…)
リンクこそ、てこの原理の原型みたいなものです。
リンク1節で考えると、支点〜力点 > 支点〜作用点になっていれば大きな力を得ることができるということになります。
歯車と同じように、大きな力を得ればそのぶん速度(移動量)が減少します。
これは自然の摂理なので受け入れましょう。
てこの原理を応用して両てこ機構を作る場合は、例えばこんな感じ。
また、リンク機構で大きな力を得るときにはトグル機構がよく使われます。
複数のリンクとスライダーから構成されるリンク機構です。
2つのリンクのジョイント部分を引く(押す)ことで大きな力を作ることができます。
トグル機構についてはMISUMIさんのページが親切です。
書籍では 「からくり設計 」メカニズム定石集 が親切です。
主にリンク機構について、実用的な解決方法が記載されています。
大きな力を伝達する際の注意点
大きな力を扱う際には破損に注意してください。
特に歯車です。歯の大きさはリンクの太さより小さいことがほとんどです。
輪列中で最も遅く回る歯車に最も大きい力が加わります。
軸については両端を支持する構造がベストです。
では、輪列中で最も遅く回ることになりそうな歯車は何でしょう?
それは、全体のタイミングを調整する「間欠歯車」や「ゼネバ歯車」です。
間欠歯車もゼネバ歯車も、回転中に停止を挟む歯車です。
この停止を利用し、停止角度を調整した歯車を重ねることで1周のうちに複数機構の動作タイミングを制御します。
そのため、間欠歯車やゼネバ歯車は「1サイクルで1周」という設計になりやすいのです。
この問題を解決する方針として2つ挙げます。
材料強度的な解決方法
「モジュールを大きくする」
「部品を厚くする」
「金属部品にする」
…などをすることで対応ができることがあります。
破損のトラブルは製作して動作確認してるときに起こりやすいので、部品寸法のつじつま的にも金属部品にして対応するのが最適でしょうか。
まあ金属加工が必要になりますが。
機構的な解決方法
「接続切り替え機構を使う」
というのが、からくりらしい解決方法なんじゃないかなと思います。
分岐する機構への動力伝達ごとに間欠歯車が1周するので、歯車の回転速度を上げて大きな力を回避することができます。
注意としては各機構への動力伝達の割合が1:1や1:1:1など、等しくなるということです。
もっとも、このような機構的な解決を考える問題に直面している頃にはもっと良い方法をご自身で考えられていることでしょうけどね!