前回投稿から結構な日数が経過しておりました。
というのも最近はTwitterでの投稿が多くなっていてこちらにまとめるのが面倒になっていた次第でありんす。
ちょっと前までからくり盆栽を作る記事を書いていたんですが、
良さげなアイデアが思い浮かばないのでちょっと寝かせておきます。
というわけで他の方向に思いを馳せてみます。
直近に製作した作品が「秩序ある無秩序」と称した5つの花が開閉する作品です。
今度はその逆の方向性、秩序のある作品を作っていこうと思います。
think1
からくりにおける秩序のある作品を考えてみると、「そもそも動くのだから秩序があるじゃないか」という話になります。
全くもってその通りなんですが、ここでは「機能としての秩序」と「見た目としての秩序」を分けて考えていこうと思います。
まず、「機能としての秩序」を僕の作品から取り除くことはできません。
機能として無秩序というのは単に動かないことだと思うので、動くことを前提として進めるといかに無秩序に組み合わせても機能的には秩序のあるものとなります。
なので「見た目としての秩序」を模索していきます。
単純に歯車の並びや機構を図形として考えていくと、左右対象でない配置も無秩序と考えられると思います。
秩序の感じる配置というのは対称的なものや均等に整列されたものになるかと思います。
think2
二次元的なレイヤー構成で作るのは幾分面白くないのでここからは三次元的な回転を駆使できる作品を考えていきます。
「秩序ある無秩序」の製作にて立体的な回転のある設計をしてみて感じたのは設計の難易度の割には動かしたときのインパクトが大きいということです。(1視点では把握できなくなるから?しらね)
今回もその続きということで立体的なインパクト重視の作品を目指します。
(インパクト重視の作品は速度伝達比を多く考えなくていいので設計スパンが短いです。この後「書き時計」のリメイクをしないといけないのでその合間に作るにはちょうどよかったり。あとTwitterウケがいいのでたくさんいいねもらえるという低俗な欲求が。もう少しでフォロワー1万いくから…)
設計は真面目にやっていこうと思います。
立体的で秩序のあるというと、思いつくのは多面体です。キーワードになってきそうです。
ところで、多面体の面に歯車をつけて回そうと試みるとき、3面で作られる頂点がある場合は全ての面に歯車をつけることができません。回転方向の整合が取れなくなってしまうためです。
以上を踏まえると、
- 正八面体
- 切頂八面体(四角面を無視すると正八面体と同じ)
- 立方八面体
- 二十・十二面体
- 斜方立方八面体(三角面を無視すると成立)
- 斜方二十・十二面体
- 斜方切頂二十・十二面体
となります。(Wikipediaのページを参考にしてください。)
面が少ない方がフレームの設計もやりやすいです。
ただ、多面体をモチーフに歯車をつけると表面だけが回るという点があります。
面が多いほどフレームの割合も多くなり、小手先でクルクル回っている感が否めなくなりそうです。
多面体の中に多面体を入れて積層感を出すことも考えましたが、結果的にはやめました。
3Dプリンターがあれば今度考えます。
think3
構造体のをなぞるような回転ではなく、内から外、外から内に動くような回転をさせたいのです。
「幾何学 アート」で検索。図形的なイメージのみ参考にしようと調べます。
以下の作品を見つけました。
ウィンドウチャームというもので風で回るものだそうです。
これ、面が6面で歯車を配置したときに整合性のある形状です。
この面の構成を参考にCADで設計していきます。
配置したのが以下です。
この構造体のポイントは、折り方向が面に対して山になる部分と谷になる部分があるということです。
平面的な輪列に対して、立体的な軸が傾くような歯車のかみ合いには傘歯車を使用します。
通常の傘歯車は谷の方向に歯が傾いていてかみ合うような形状になっています。
今回の構造では面に対して山と谷ができるため、通常の傘歯車では2枚を反転して締結するようにしないと対応できません。
対応できないのですが、2枚を1つの歯車として合体させることで1枚で対応させることができます。
要は、裏表両方向に歯の傾きがあれば両方向からかみ合わせることができるということです。
さて、変形傘歯車を各面に配置しました。これでも整合性が取れているので回すことができます。
また、この図形、拡張性があるのです。かみ合いの方向を維持しながらひとまわり大きくし、構造体の中心に空間を作ることができました。
美観的な点から、直角平行よりも斜めの方がインパクトは大きいと感じるのでこの構造体を斜めにします。
ついでに歯車の肉抜きもします。
そんな安直な発想で設計できるのか!と思いますができました。
構造体の下に土台を作り、歯車の間をすり抜けるようにパイプと軸を通して内部から構造体を動かします。
構造体に回転を伝える部分はこんな感じです。
土台は「秩序ある無秩序」の時と同じフォーマットで、200×200(mm)の正方形です。
2作品を同じシリーズのように並べられたらなと思います。
think4
あとは全体もゆっくり回るようにします。そのほうが自分が動かなくて済むので。
そんな安直な発想で設計できるのか!と思いますができました。
構造体を維持しているパイプを回します。土台の中で歯車を組み、パイプと締結した歯車とかみ合わせます。
(青が軸用の歯車で黄色が軸、赤がパイプと締結した歯車です)
余談ですが、この作品のようにパイプの中に軸を通して遠くに回転を与える作戦は軸のみでは成立せず、必ずパイプが必要になります。
パイプでなくてもいいのですが、ここでパイプが果たしている役割は空間的な固定です。この作品ではパイプは土台と上部構造体のフレームと締結しているので、上部構造体は土台との位置関係を保ち、土台からの軸の動きを回転として受けることができます。
軸だけだと全体が一緒に回ってしまうので歯車が回らないというわけです。
一応、変形傘歯車は試作として削ってみました。
使ったのはパープルハートという紫色の木材です。
いい感じです。
この記事を記載した段階で既に構造体のいくつかの切削を始めています。
難なく出来上がるといいですね。ふふ