複数の機構への動力伝達分岐について

コラム | Column

複数の機構へ動力をわける時、各機構の動かし方によって大きく2種類に分けられます。

  • 同時に動作させる
  • 順番に動作させる

同時に動作させる(あと基本的な組み方)

複数の機構を同時に動かす場合は輪列中においては特殊な機構は必要ありません。
動力源から各機構へ向けて、枝分かれするように歯車を繋ぎます。
使う歯車は基本的には平歯車です。

使う歯車の大きさはその場所の都合に合ったサイズのものを使います。
大きい歯車はバックラッシや摩擦については有利ですが、大きなスペースが必要です。
小さい歯車はその逆の特性です。

この動力の伝達経路中に変速も行います。
変速の考え方としては、必要な速度比まで掛け算して進んでいくイメージです。

例えば動力〜機構Xまでに回転速度を10倍にする必要があるなら、
「2倍して、5倍する」という感じです。(2×5=10)

100倍にするなら、2x2x5x5というように、それぞれの数字の比になる歯車を組みます。

使用する最大と最小の歯車のなかで速度比はやりくりします。

分岐させる際は、まとめられる速度比はできるだけ分岐前に行います。

順番に動作させる

今度は機構Aが動いた後に機構Bが動く といった、間欠運動が入る動きへの動力分岐についてです。

間欠運動ができる機構は主に以下の3つです。

この3つのうちのどれかを分岐する歯車に使います。三叉路になっている部分です。
設計難易度や摩擦や等速伝達のことを考慮するとオススメなのはカウンタ式間欠歯車です。

カウンタ式間欠歯車はこのように歯数を増やすことで伝達時間をカスタマイズできます。

歯がある部分では動力が伝わり、歯がない部分では停止となります。

途中に停止を入れたいならこのようにしても動きます。

このカウンタ式間欠歯車をカスタムする際の注意としては、歯は必ず偶数にしないとダメです。
停止期間までにピニオンが毎回 偶数歯だけ動くことが条件となります。

2方向へ分岐が起こる場合は2つの間欠歯車を重ね、逆位相(伝達と停止が逆)となるような間欠歯車を作ります。

この時、2つの歯車の伝達時間は任意で変更できるので、2つの機構の動作にどちらも停止するタイミングが欲しいなら歯を減らしたり、動きが重なるようにしたいのなら歯を増やせばよいということになります。


余談ですが、分岐する機構がさらに増えていくと全体の動作タイミングを1組の間欠歯車の1周で制御するのは困難になります。

必要トルクが多くなればピニオンの歯がぶっ壊れることもあり得ます。

そういった場合は、1つの間欠歯車でカムを回し、複数の分岐への接続を切り替えるのが1つの対応策となります。