間欠運動における停止状態について

コラム | Column

間欠運動中の停止についてです。
歯車が止まっている状態にはいくつか種類があるのでそれらについて書いていきます。
3つを紹介します。(名前については当サイトのみの運用です。)

  • 完全拘束
  • 負荷制御
  • 無接点停止

完全拘束

ゼネバ歯車間欠歯車がこれにあたります。

停止中には従動歯車の動きが完全にロックされ、動くことができない(=完全拘束)になります。
機構内部の誤動作に強いです。

完全に動かないと言っても、従動歯車の停止中も原動歯車は回転するわけですから、僅かな遊び(クリアランス)は必要です。
この遊びは結構重要で、歯車同士の距離が近すぎると詰まってしまって正常に動かなくなりますし、逆に遠すぎるとガタつきが大きくなり、不意に従動歯車が回ってしまうと詰まったりもします。

クリアランスの設定がシビアになるのは、歯車同士が停止中に保持できる範囲が狭い時です。
具体的には従動歯車の停止角度が多く原動歯車の動力伝達期間が短い構成です。
この時に発生しやすいのが詰まりです。

36°で動力伝達を行うのはちょっと厳しいよ

対策としては原動歯車の径を小さくするだけでも効果があるので、間欠歯車での制御前に速度を見直すのがいいかと思います。

動力伝達する角度を増やすと原動歯車が従動歯車に近づくため詰まりなどの誤動作が発生しにくくなるよ

負荷制御

負荷制御は、規制レバーなどを用いて従動歯車にテンションをかける方法です。

先述した完全拘束とはまた違った特徴があります。
違いはこんな感じです

・歯車同士のクリアランスによる詰まりが発生しない

・停止中でも従動歯車を操作できるため、従動歯車への入力経路を増やすことができる

・停止制御用の負荷は動力伝達中も発生する

負荷制御で用いられる歯車は一部に歯がない歯車(ここでは欠歯歯車と呼ぶことにします)や、ピンや爪などです。

欠歯歯車は停止中に従動歯車と接触しなくなります。その状態で従動歯車の角度を保持するために負荷をかけるということです。
また、原動歯車と無接触になる&完全拘束ではないという条件となるため、従動歯車を別の動力伝達経路から動かすことができるようになります。

負荷制御のテンションは動力伝達中にも発生するので、小トルクで動かす際は大きすぎる負荷をかけると動きが悪くなることがあるので注意です。
規制レバー以外にもハートカムなども負荷により角度を補正できる機構です。

ゼネバ歯車のようなピン入力と規制レバーを使った組み合わせは#1で紹介しています。

無接点停止

これは基本的に内部機構のかみ合い位置の関係がずれやすいのでおすすめしません。

欠歯歯車のみで動力を伝達させると停止中が無接点停止となります。
無接点停止の状況は慣性に影響します。原動歯車を早く回せばそのぶん無接点中も回転しますし、ゆっくり回せば無接点状態ではすぐ停止します。

無接点停止も使いようですが、基本的にはあまり採用されない機構です。無接点中も慣性を利用して回したいと言うならラチェット系がありますので。